romance-624249_1920

ここまでカサンドラの事について書いてきましたが、私は発達障がいの専門家ではありませんし、それを専門にしようとしている者でもありません。

どちらかというと、グレーゾーンと呼ばれる人達(特徴が当てはまるものとそうでないものがある)がいかに多いかという現実を目の当たりにし、単なるカウンセリングやスピリチュアルな視点では解決できないさまざまな問題を紐解く時に、発達障がいと分類されている特質について情報を持つことが、どれほど役立つかという観点で書いています。

夫婦の問題にしても、完全にアスペルガーではと思われる人だけではなく、グレーゾーンにあたる人達も、そこに潜んでいる彼らの特質ゆえの問題が表に出にくいため、時には問題が深刻化していたりすることもあるように感じています。

こういった知識を得る事で、起こっている問題が、単なる相手の人間性や思い遣りや愛情の有無に由来するものではないということを知れば、お互いがよりよい方向へ向くために大いにプラスになると感じるのです。

本当は「誰も悪くない」と知る事が、実は関係性においてはどれほど多くの癒しをもたらすことでしょう。

・・という訳で、カサンドラを引き起こす原因となっているアスペルガー夫の特徴を更にピックアップしていきます。

man-97976_1920

アスペルガーの夫や父親に関して、家庭内でトラブルとなり、妻がカサンドラ症候群となっていく理由は、「カサンドラ症候群を考える④」で述べた他には、以下のようなことが挙げられるそうです。(「夫がアスペルガーと思ったとき妻が読む本」より抜粋)


↓妻がカサンドラの状態になっているAS(アスペルガー)夫は・・

         
目的や意味のない無駄なことができない。

他者の評価があるところでは行動できていても、社会ではない家庭では同じ事ができない。ゆえに、夫の家庭での姿は周囲の人には理解されにくい。

変化に弱く、他者の気持ちを理解することが苦手で、かつ一人の時間を大切にする傾向がある。

すでに持っている自分のルールや前提を変化させるには、正当な理由が必要。

何かをしてほしい時は、必ず具体的に伝えなければわからない。

父親になった時、想定していない事への対応が苦手なため、育児はとてもハードルが高い。

二つの役割を同時に担う事が苦手。ゆえに、夫と父親という同時に二つの役割をするイメージが持ちにくい。

父親は子どもの発達段階のイメージを持ちにくい為、大人と同じように扱ったり、また子供の気持ちを想像するのが苦手なため、事実をありのまま告げたりして、子供に冷淡と思われる発言をしたりすることがある。

わが子も他人も自分も、客観的な数値や社会的ステータスで評価する傾向がある。

金銭感覚の問題は大きく二種類に分けられる。一つは、自分の趣味などに浪費し、借金をするなど極端なお金の使い方をするタイプ。もう一つは、お金を極端に使わない、他人に渡さないタイプ。二つが混合して、自分には浪費するが、他人(家族)にはお金を渡さないなど重複することもある。つまり共通するのは、お金を他者(家族)と共に持つことに極端に抵抗感があるということである。

人の大切さを数字で把握する理解の仕方を持つ。例えば、妻への愛情を「生命保険に入っているよ」と即答したりする。ゆえに、金額に換算されない家事や育児という妻の多重労働をねぎらうことはあまりない。

puzzle-1152791_1920

私は、母が家を出ていくことになった日に、酔っぱらった父から以下のような暴言を吐かれたことがあります。当時は言われたことに腹が立ちましたが、アスペルガーの特徴そのままの父の言動を思い出し、なるほど~とものすごく納得したのでした。

「お前は一体何の仕事をしているんだ!?俺にはさっぱり何かわからん!」
→私はこれまでやっていた英語教室をやめて、カウンセリングやワークショップなどをしているのですが、それは父の仕事の概念にはなく、皆目見当のつかない事なので、非難するのです。

「お前は〇〇〇(会社を経営している弟)のように金もたくさん稼がないし、世間で一番にもなっていないじゃないか!!」
→父は数字で物事を図るので、目に見える世間的な評価を得ていない私の仕事は理解不能らしいです。


またある時のことですが、友人の旦那さんがとても立派な家を建てたことを夫に話していた時に、「そんなに立派なお家を建ててくれたのは、〇〇ちゃんへの愛情なのかな~?」と私がつぶやいたら、夫は怒ったような顔で「当たり前だろ!それ以外に何がある!?」と語気を強めたのでした。

私は夫の即答にちょっと驚き、ずっとその時の様子が心に残っていたのですが、ローンを組んで家を買うと言う行為がAS夫の愛情の表し方そのものなのだという事を理解したとき、妙に納得し胸落ちしたのでした。そして、私の熱意に押されてマイホームを購入することを決断してくれた夫も、そういう形で私を愛してくれていたのだと、なんだか嬉しくなったのでした。

このように、夫や父の言動の細かな部分で色々と傷つくことが多かった隠れカサンドラの私ですが、知ることで、過去に遡っての癒しが起きてきています。

心身に影響を及ぼすような状態になってしまったカサンドラ症候群の人達には、ただ知るだけでは簡単に癒しは起きないかもしれませんが、それでも「カサンドラから抜け出すために」と、本はいくつかの提案をしていますので、次回は回復へのヒントをシェアしたいと思います。


『カサンドラ症候群』を考える ⑧へ続く・・)