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長い長い一日が終わりました。

昨日の早朝、父が旅立ちました。

しばらく呼吸が苦しい状態が続いていており、その苦悶の表情を見るたび、もう身体から解放させてあげたいと実は願っていました。

前日からモルヒネを多めにしていたという医師の計らいのお蔭か、どちらかというと穏やかな顔をしていたことが救いでした。

私にとっての父は、愛をたくさんもらってきた事を実感する思い出はたくさんありますが、本当は気弱なのに、それを隠すための攻撃性や言葉の暴力が強かったので、こちらから愛するのが難しい人でした。

プレゼントを渡しても、気に入らないと返してきたり、陰で文句を言ったりする人でした。

子供という存在にはとても優しい人なのに、大人にはいつも辛辣な批判をする人でした。

明治生まれの父親譲りの男尊女卑の思想が強くて、私は「女のくせに」という言葉を幼い頃から何度言われたかわかりません。

前の病院では、薬で朦朧としていたという言い訳はありますが、若い看護師さんにセクハラをして、子供の私達が師長さんにきつくお叱りを受けるという残念なエピソードもありました。

痛みに弱く、我儘で、自己主張が強くて勝手に病院を退院したがる人で、もう八十代半ばでもあったので、私達は彼に抗がん剤の治療をするなどはしないことを決めてこの日を迎えたのでした。

肉体の死は終わりではないこと、魂は永遠に生き続けることを知っていても、親との別れは辛いものでした。

思い出の結晶作用というものがあります。(人は悪いことを忘れ、良いことの方を多く記憶に残すという習性があるそうです)

これまで彼に吐かれた暴言や困りごとが山のようにあるのに、父が母の精神状態を悪くする元凶だったゆえに私の苦しみが多かったのに、思い出の結晶作用はあっという間にそれらを私の記憶の彼方に押しやります。

そして、ただただ彼が私に向けてくれた数々の愛に基づく行為だけを、私の脳は反芻するのです。


こんなに優しい人に、私は何故もっと優しくしてあげられなかったのだろう。

寂しがっているのがわかっていたのに、何故もっと頻繁に病院に足を運んであげられなかったのだろう。

独りぼっちで旅立たせず、枕もとで見送ってあげることが何故できなかったのだろう。

こんなに寂しい最後を迎えるなら、母を別居させる手助けなんてしなければよかった・・。


思い出すと、自分を責める事ばかりが浮かんできて、泣けてしかたがありません。


それでも、私の愛する今の家族が、私の辛い気持ちを慰め、励まし、愛してくれることに救われ続けています。

これまでさんざん親に苦しめられてきた私がそれ以上自分を責める必要はないと、愛の言葉をかけてくれるのです。

ありがたいです。辛くてならない時に、逆に自分がどれほど幸せなのかを思い知ります。


人の生き死には、人間関係にもさまざまな波紋を呼び起こします。

きょうだいや親族との関係性にも色々なスポットが当たり、未解決の問題が浮かび上がります。

そしてすべての局面において、私は最終的に自分を責めてしまうパターンに陥るのだという事とも、相対させられています。

父の死は、単に彼が肉体を去り魂存在に戻るということのみではなく、彼と関わった人々の人生を揺さぶり、意識の大きな改革のチャンスを与えてくれていることに気付いています。

これは、父が私に与えてくれている最後の大きな愛なのかもしれません。


聖人君子のように、すべての人を等しく愛し、愛情だけに溢れてやりとりするということは、まだまだ難しい世界に生きていることにも気付きました。

自分の心の中にある闇の部分からも目をそむけず、不完全であるからこその人間であることを受け入れ、前に進んで行こうと思います。

闇の中であるからこそ、光の美しさにも気付くことができるということに改めて気づき、その光の温かさに感謝が溢れています。

娘が言ってくれたように、父が私に与えてくれたことだけを数えるのではなくて、私が父に与えた人生の喜びも数えたいと思います。

子供が大好きだった父が、私の子供達とやりとりして過ごした幸せな時間は、私という子供が父に与えることができたギフトでした。

父は、私に何かしてくれることで、娘に何かしてあげられる喜びを感じてくれていたのだと思います。

自分と言う存在がいたことそのものが親孝行だったということに思いを馳せ、彼に心を100%開いて愛を表現できなかった自分を許そうと思います。

孫と一緒に最高の笑顔で写っている写真を遺影に選びました。

この美しい瞬間を父が体験したことは、私の誇りであり喜びであると、心に刻みたいと思います。

お父さん、ありがとう。

お父さんにもらったたくさんのものを、これから私の生きる力にしていきます。

限界のある肉体から解放されて、美しいあちらの世界で光に戻って、軽やかに笑ってくださいね。




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