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私にとっての愛の学びは、家族関係の中に集約して存在していました。

そしてそれは、やがて生まれた時の家族を離れ、新たに作られた自分の家族、そして「血縁」というものを離れ「縁」で繋がった人達との関係性へと広がって行きました。

今回の父の死と葬儀を通してさまざまな出来事が起こり、そこに関わった血縁というもので繋がった人達の間のやりとりによって、私は改めて自分を見つめる機会を得たのを感じているのです。


本来ならば、誰よりも自分のことを理解し、魂の成長を応援してくれるはずの親という存在が、私には欠落していました。

肉体を持って、肉体を育ててくれた親がいたのは確かですが、今の私の中にある「私が私であるための指針」のようなものは、私は親からは何一つ与えられてはいないと感じています。

むしろ、それを阻害するためのものを執拗に刷り込まれ、それを受け取らないことに腹を立てられ、親に飲み込まれないように使うエネルギーで、自分に注ぐべきエネルギーを消耗させられてきました。

なんとかそこから離れようとしてもがいても、結局は自分の中にある罪悪感と、してもらった数々の物質的・肉体的な彼らにとっての愛情表現を思い出すことで、私は彼らから完全に離れることはできなかったのでした。


私の両親は、二人共わずか四歳で母親を亡くしているという共通点を持っていました。

そしてその後の家庭環境では、残念ながら無償の愛と呼ばれるようなものを受け取ることができなかったという悲しい生い立ちがあるのでした。

ある意味、よく似ている夫婦でした。

二人共、小さい子供を見る眼差しは本当に優しくて、心から真剣に私の子供達と遊んでくれる祖父母でした。

もし二人が、両貰いという環境で結婚生活を始めなければならないような運命の下になかったとしたら・・彼らの関係性を脅かす「世間体」というモンスターに飲み込まれていなかったら・・孫を見る優しい眼差しのままで幸せな人生を生きていたのかもしれません。


自分が不幸であると主張する人達は、自己憐憫の中に埋没し、自分以外の周りのすべてを攻撃します。

親子関係においては、「愛」という名にすり替えた「攻撃」を子供に向けてしまいます。

その「攻撃」は、「コントロール」と言い換えた方がわかりやすいかもしれません。

私自身は、親からの愛だと信じていたものが、実は攻撃(コントロール)だったと気付いた時から、それをかわし続けて生きてきたので、親からは「愛」そのものが消えたのだと思われていたのだとわかります。


今回、父を失った悲しみ以外の悲しいことが続発し、自分の中からあふれ出る感情をリリースした後には、なぜこんなことが起こってしまうのかを静かに考えることができました。

そしてそれは、「DV(ドメスティックバイオレンス)の連鎖」と同じようなものでしかなく、どこかで誰かが断ち切らなくては終わらないものなのだと、しみじみ思うに至ったのでした。


本来親から受け取るべき「無償の愛」に恵まれなかった人は、「愛という名のコントロール」を断ち切る役割を心に決めて生まれてきた人なのかもしれません。

そして、無償ではない愛しか知らない親達も実は愛そのものの存在である・・ということに気付くのが、その勇気ある選択をしてきた人達のミッションなのかもしれません。


私達は「人間のふりをしている魂存在」です。そして人間というのは、地球上で光と闇を同時に体験する生き物です。

人間のふりをとことん楽しんだ父は、きっと今は魂に戻って人生を振り返り、さまざまな人や事に思いを馳せていることでしょう。

残された私達は、今しばらく人間のふりを楽しまなくてはならないので、相変わらず「愛」というテーマをこねくり回しながら、苦しみや悲しみ、そして本当の愛とは?ということと向き合っています。


愛の学びの究極は、やはり「自分を愛する」ということになるのでしょう。

自分を愛する事よりも、親からの愛(実はコントロール)を受け取り続け、世間体という社会を覆うコントロールに自分を預けてしまったことで、愛を渇望するがゆえの悲しみを抱えた人達が、さまざまな問題を創りだしてしまうのでしょう。

現実問題として起こっている出来事の一つ一つに、この視点を持ち込むことで、私は自分を愛し、同時に私の愛する人達との人間関係を豊かなものにしていけたらと願うばかりなのです。

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最後に一つ、おまけのエピソードを・・。

もうすぐ4歳になる孫娘が、葬儀を終えての帰りの電車の中で急に、「うちは5人家族になったんだね!」とにっこりしたのでした。

娘が「うちは4人家族だよ。どうして?」と聞くと、孫娘は「だって~」と、隣の空いている席を指差したのでした。

見えない存在が大の苦手な娘は「やめて~!!」と騒いだそうですが(笑)、いつも私に孫達の写真や動画を見せて欲しいとねだっていた父が、きっとこっそり名古屋までついて行ったのかなと思った私でした(笑)




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2月21日(金)2020年第2回 「Cerulean Blue お話会」開催しますよ~!
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