久しぶりに青空の一日だったので、お山まで水を汲みに行ってきました。

かなり時間を外したつもりだったのですが、いつもの水汲み場には先客が二組。一組は今ほど来たところのようでした。しばらく待っていたらお一人が帰られたので、私も水汲みさせてもらおうと車から降りたら、一足先にいらしたご夫婦らしき年配の方達が、ものすごい数のペットボトルを山のようにその場所に積み上げ始めました。

気配で私を水汲み場のそばに寄せたくないのがわかりました。仕方がないので、少し離れて待っていましたが、何かお商売でもしていらっしゃる方なのでしょうか、尋常ではない数のペットボトルは一向になくなりません。

ご主人が携帯の椅子に座りこんでお水を汲んでいます。奥さんらしき方は、ご主人が汲んだペットボトルを箱に詰めて車に運んだりしています。

通常その水汲み場では誰かとバッティングしたら、お水の流れを半分ゆずって一緒に水を汲むことが多いので、後に予定があったこともあり、私は半分入れてもらえないかな~と様子をうかがっていました。

お願いすればいいじゃない、と言われそうですが、そのご夫婦はそれをさせない雰囲気を湛えていました。半分ポーズだと感じましたが、奥さんはたまにご主人と並んで1本だけお水を入れたりもしていました。

このご夫婦が終わるのを待つしかないな~と悟ったので、久しぶりの太陽の光を浴びながら、青空を眺めて30分くらい道路に立っていました。

途中で、先にお水を汲んでいたご老人が何か忘れ物を探しにいらして、私の様子を見咎めました。ちらっとご夫婦の様子を見てから、私がそこにずいぶん待っているのだと気づいたらしく、「ここは二人並んで水を汲むことになってるから。あの人たちは一組だから、横で汲ませてもらえばいいのに。」と私にぼそっと言ってくれました。

私はそのご老人がそう言って下さっただけでなんだか嬉しくて、「大丈夫です」とそっと返しました。

それから更に待っていると、もう一台の車がやってきて停まりました。ご夫婦のペットボトルは、ようやくあと数本になっていました。

最後の一本を待って、私は水汲み場に自分のボトルを運び入れ始めました。と同時に、待っていらっしゃる車の方に合図をして、ご一緒にどうぞとお伝えしました。

先ほどのご夫婦が最後のペットボトルのケースを運びだすとき、奥さんが意外にも「お待たせして」と言ってくれました。へ~っと内心思っていたら、その後に「きょうはお天気が良かったさかい、前の人たちは3台くらい待たされとったらしいわいね。」と言うのでした。私が見ていた限り、このご夫婦は1台も待っていなかったはずでしたが・・(苦笑)

あ~、この方でも罪悪感を感じていらしたんだなぁと。でも自分は悪くない・・と思いたくて、こんなこと言うんだなぁと。腹が立つというのではなく、冷静に観察している私がいました。

水汲みの後にあった予定は、時間を40分くらいオーバーしてしまっていましたが、電話で謝り事なきを得ました。

やっと回ってきた順番が嬉しくて、一緒に水を汲み始めたご主人とも話が弾み、私より少ないペットボトルしか持ってきていなかったこのご夫婦は笑顔でお礼を言って先に帰られました。


帰り道、水汲み場で起きたことを振り返って感じてみました。

平たく言うと「いけず」だった今日の先のご夫婦の姿は、私の中のどこにあったのかなと思いました。

自分がここまであからさまに、他人を蹴散らし自分を優先させたことはあるとは言えませんが、あの奥さんの心の中にあったような気持ちは、私の中にも存在していたことは何度もあったことを思い出しました。

それがないなら、青空を見上げながら待っていた時には私の心は100%平静だったことでしょう。

しかし私は最初、「あ~この人達はあまり優しくないな~。予定に遅れるな、困るな~。割り込んだら間違いなく嫌な顔するだろうな~。」と内心いらっときていました。

でもきょうのお天気があまりに気持ち良かったお蔭もあって、気持ちを切り替えよう、せっかくの山なんだからここで久しぶりの太陽の光を浴びて待っていよう、呼吸を整えよう・・・という試みは成功しました。

とはいえ、その奥さんの考えていることが、言い訳をしたことまで手に取るようにわかったので、これは私に無縁な感覚ではないのだなということもわかったのでした。


実質的には、私は後からいらした方達と笑顔で気持ち良くおしゃべりまでできたし、先のご夫婦とも笑顔であいさつし、まるで「いい人」の行いをしていたと思います。

しかしそれは私にとっての全てではなく、この出来事を体験したことは、私の中の何かを手放すためのことだということは理解できました。


頭では、人と分かち合い調和し合うことの素晴らしさはよくわかっているつもりの自分でした。しかしこれまでの私は、本当にそういう生き方を喜んでしていたのかというと、そうではなかったのだな~と気づいたのです。

あの奥さんとは何の変りもなくて、自分に都合がよく物事が進むと気持ちがよくて、そうでない時や、それを妨害する人に対しては辛辣な気持ちを持て余すこともしばしばあったはずでした。


帰りの車の中でその感覚に気が付いたときには、なんだかちょっと情けなくて、少し悲しくて、切ないような不思議な気持ちになりました。いけずなご夫婦の、そのいけずさは、やはり他人事ではなかったのだなと思いました。

でも不思議なことに、その感覚のお蔭で、あの奥さんも私もみんな一緒なんだということが人間の連帯感のような、愛しくなるような気持ちを呼び起こし、私は少し幸せになったのでした。


そういう気持ちでしみじみしながら次の予定の場所に行ったところ、開始時間が遅れたにも関わらず、私が予定していた通りに事は進み、何の不都合もなく予定のことは時間内に終えることができたのでした。

やはりそうか~、と思いました。すべては必然なんだなぁ・・・と。


あの、ちょっと意地悪い感じで私に笑いかけた奥さんのこと、覚えていようと思います。

もしもう一度お会いすることができたなら、「あの時はありがとうございました。」と言ってみたい気もします。(もちろん嫌味ではなくてね・・・笑)

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ハワイ島にてーだれもいない秘密の浜辺♪