今回の旅行では、この地「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」に行くか行かないかについて、しばらく考える時間がありました。

私がスピリチュアルなことに初めて触れたと言えるのが、シャーリー・マクレーンの著書「アウト・オン・ア・リム」だったのですが、彼女の書いた「カミーノ」がスペインが舞台だったのでは?!と、ハッと気付いたのが旅行の計画を始めたときでした。

カミーノとはキリスト教三大巡礼地の一つで、シャーリー・マクレーンはスペイン北部・聖地サンティアゴに至る800キロの道程を歩くべしという差出人不明の手紙を受け取って、その地を歩いたのでした。

随分前に読んだ本で、そのときには大きな感動を得たはずだったのですが、内容はほとんど忘れてしまっていました。しかし、なぜだか深いところから「カミーノ」の言葉が浮かび上がってきて、スペインを訪れるのはこの地を訪れる必要があるからだという、確信の様なものを感じたのでした。

ところが、最初は何故だかそこに行きたくないのです。気が進まない。なんだか重たいのです。不思議な抵抗感を持て余していたのですが、友人に相談したところ「そこは絶対に行かなくちゃいけない場所だよ。」とずばり言われました。そう言われるのもわかっていたような気がします。

しかし不思議なもので、一旦行くと決めたらなんだかすっと楽になって、一箇所だけ離れたスペイン北部地方だったのですが、母も何も反対はしませんでした。

日本人が一般的に行くスペインのツアーには含まれていることが少ないので、ガイドブックにも小さな写真と簡単な記述しかありませんでした。ですから正直、ここに行く事はどんな体験になるのかは、皆目検討がつきませんでした。



マドリッドから飛行機の国内線で1時間10分。予定では夕方早めに到着するはずだったのですが、飛行機のテクニカルトラブルで空港で二時間も足止めされてしまい、サンティアゴ・デ・コンポステーラに着いたのはもう夕暮れ時でした。

この旅の中では一番奮発して、ここではスペインの国営ホテルである「パラドール」に泊まることにしていました。サンティアゴのパラドールは、巡礼地の最終目的地である大聖堂の前に建てられていた昔の王立病院兼巡礼者の宿泊施設をホテルとして現代に甦らせたものです。15世紀当時の姿をそのままにとどめるために細心の改修を経て蘇ったというこのパラドールは、どこを見ても、まるで美術館や博物館のようでした。

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パラドールのエントランスです。

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クラッシックな天蓋付きベッド。バスルームは最新のものになっていました。



ホテルの目の前にあるのがサンティアゴ大聖堂でした。それは全く予想していなかった大きさそして威容さで、母と二人しばし息を呑んでその前に佇みました。

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ホテルにチェックインして、もう一度大聖堂を見ようと外に出たらもう日は沈みかけていて、今度はライトアップした大聖堂に再び息を呑み、感動でそこから離れられなくなったのでした。


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写真ではうまくあの感動が表せなくて残念です・・。


全ての旅程を終えてから母に聞いたのですが、意外にも母はこのサンティアゴ・デ・コンポステーラが一番良かったと言いました。最初は私がおかしなところに行きたがるなぁと思っていたそうです。しかし実際に来て見て、一番感動して来てよかったと思った場所だと感謝してくれました。

後日談ですが、このことをココカラーの美鶴さんにメールで告げたら、「そのサンティアゴ・デ・コンポステーラという地は多分、お母さんにとって、過去生においてよく訪れていて、想いの深い場所ではないかなと思います。よく祈られていたのではないかと思います。魂からさまざまな思いの光がはらはらとそぎ落とされ、輝いているのが見えます。」とのお返事を頂きました。

私も大きな感動を受けた場所でしたが、それ以上に母にとって来るべき場所だったのかもと思いました。不思議なことに、母は他の場所ではほとんど記念のものを買ったりはしなかったのですが、ここでは(ネックレスだと間違えて)香木でできたロザリオを自分のために購入したのでした。

ネックレスと間違えたのはご愛嬌ですが、無意識に祈りのときに使っていたロザリオを手にしたのではと私は思っています。


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パラドールのパティオの一つ


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サンティアゴの巡礼のシンボルである「ホタテ」


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聖ヤコブ


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大聖堂を中心とした石畳の旧市街全体が世界遺産として登録されています。



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パラドール前の坂道。世界遺産のある場所は、どこを切り取っても絵になるのがスペインの魅力でした。



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おまけ・・・スペインのパトカー


サンティアゴ・デ・コンポステーラは、観光地というよりやはり巡礼の最終目的地と言う方がふさわしい厳かな場所でした。大聖堂の中も日に何度もミサが執り行われていて、真摯に祈るカトリック教徒の姿に胸を打たれました。

この地を去るときに、空港で搭乗手続きをしていたら空港の係員の人から、「あなたの国の人達のために、心からお祈りしております。」となんとも優しい眼をして言葉をかけられました。

胸が一杯になって、ただ「Thank you.」としか言えなかった私でした。